有馬温泉を旅する前に、温泉の歴史をひもといてみることにしましょう。
有馬温泉の守護神「湯泉(とうせん)神社」の縁起によると、最初に泉源を発見したのは、大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこのみこと)。なんと神代の頃! そして『日本書紀』には7世紀に舒明天皇が滞在した記録が残っているというのですから、なるほど日本最古泉のひとつなんですね。
高温の温泉が湧出する有馬ですが、近くに火山があるのでしょうか? 答えはもちろんノー。有馬温泉のある六甲山系は、ユーラシア大陸のプレートとフィリピン海プレートがぶつかり合い、大地がせりあがって誕生した山。有馬温泉のお湯は、この六甲山系を形成した断層に沿って湧きだした地下水なのです。
そして断層と言えば地震。有馬温泉は有史以来、度々大地震に見舞われ、街は壊滅的な被害を受けてきました。水害や大火事にも遭いました。そしてその度に、温泉を救うべくヒーローたちが登場するのです。奈良時代は僧・行基が、鎌倉時代には僧・仁西が、そして安土桃山時代には豊臣秀吉が有馬温泉の復興に力を注ぎました。現在、有馬温泉の街の入り口にある「湯けむり広場」には、秀吉像があり、その秀吉像と向かい合うように、秀吉の妻・ねねの像が立っています。太閤さんに愛された温泉の証が、街のあちらこちらに見られます。
さて、大阪・梅田から直行バスでわずか1時間。天下の名湯・有馬温泉に到着です。澄んだ空気と、眩しいほどの緑、山へと続く温泉街の風情に胸が躍ります。
ご存じの通り、有馬温泉が日本三名泉と呼ばれるゆえんは、泉質の良さにあります。環境省が療養泉として指定する9つの主成分のうち、7成分が含まれたありがた~い温泉です。有馬のお湯のもうひとつの特長が、赤茶色の「金泉」と無色透明の「銀泉」の2種類があること。街の中には「金泉」を楽しめる「金の湯」と銀湯を楽しむ「銀の湯」、2つの外湯があります。宿の内湯を楽しむのもいいですが、日帰りで外湯巡りを堪能するのもオススメです。
CityDO!編集部は、まず「金の湯」へと向かいました。建物横はたくさんの人でにぎわっています。そう足湯です。鉄分をたっぷり含んだ「金泉」は、独特の色と香りがします。
早速靴を脱いで足を入れてみると、思った以上に熱い!42度あるそうです。しばらくすると足が真っ赤になってきて、全身に汗が。フーフー言ってると、向かいに座ったお母さんが「あっちは熱くないよ。ここは温泉の噴き出し口があるから一番熱い場所」と教えてくれました。足をお湯に漬けながらのおしゃべりも楽しいです。例のお母さんによると「このお湯はキズにもいいよ」とか。いい情報をありがとうございます。足湯は無料で楽しめます。
外湯「金の湯」では、スポーツタオル200円、バスタオル500円で販売しているので、手ぶらでふらっと立ち寄れるのが魅力です。また飲泉場もあって、金泉を味わうことができます。塩辛くて、サビのにおいがする独特の味。私たちは、もう、いいです・・・。
「金の湯」からさらに坂道を上がっていくと、「銀の湯」です。炭酸泉とラジウム泉が楽しめる無色透明の温泉です。「金の湯」と「銀の湯」の2館券があり入浴料が割安になるようなので、ぜひ2つの外湯を体験してください。
入浴料/ |
「金の湯」大人650円、小人340円、幼児140円
「銀の湯」大人550円、小人290円、幼児120円 |
温泉街の観光マップを見ると、泉源や神社仏閣が点在していて、広い印象を受けますが、実際は歩いて回れるコンパクトな街。小さなエリアに見どころがギュッと詰まった、箱庭のような街なのです。温泉だけでなく、そぞろ歩きも有馬温泉観光の魅力。まずは街の要・泉源巡りと参りましょう。
街のメインストリートである湯本坂。メインストリートと言っても、クルマ1台通るのが精一杯の細い路地です。両脇には格子戸の美しいお店が並び、温泉街の風情を伝えています。
この湯本坂の途中にある赤いポストが、泉源巡りの拠点です。ここから少し山手に行くと、もうもうと蒸気の上がる天神社に到着。神社の境内の中にある「天神泉源」で、98度の高温のお湯が沸き出しているとか。有馬独特の鉄分の多いお湯のため、境内の石も赤茶けてしまうほどです。
「天神泉源」から少し東へ歩くと「有明泉源」、さらに来た道を戻る形で西へ行くと「御所泉源」、そして湯本坂に戻り少し下ると「妬(うわなり)泉源」です。おどろおどろしい名前の由来は、昔美人がこの泉源の前を通と、お湯が嫉妬して噴き出したためだとか。すると、このお湯は女性だと言うことですね!
由緒正しい温泉だけに、街の中にはたくさんの寺社があります。太閤秀吉由来の「極楽寺」や、北の政所ねねの別邸があったと伝えられる「念佛寺」、有馬温泉ゆかりの「湯泉(とうせん)神社」もあります。春はさくらを眺めなから、秋は紅葉を愛でながらの歴史散策もおすすめです。
街歩きに疲れた時は、話題の「有馬サイダー」を飲みましょう! 有馬に湧き出る銀泉(二酸化炭素泉)が入った、日本初のサイダーとも言われています。2002年に復刻し、街の土産屋や飲食店でも買えるようになりました。
せっかくだから雰囲気のいい所で飲みたいなぁと思っていたところ、見つけました、いいお店!「BARニュールンベルグ」です。
その名の通り、ドイツ・ニュールンベルグで愛されてきた粗挽きソーセージが人気のショットバー。ソーセージ&ビールの組み合わせにもそそられますが、今日は話題の「有馬サイダー」をオーダー。すると、グラスはナシ、栓を抜いてビンごと手渡されました。「グラスに注ぐと、炭酸が弱くなってしまうので、ビンで飲んでいただいています」とのこと。
オープンエアのスペースに腰掛けて、レトロなラベルデザインのビンに口をつけます。
うぉおお!刺激的!普段飲み慣れているサイダーよりもはるかに炭酸がキツイ!シュワシュワ感がのどにしみます。ゲップも強烈!
恐るべき有馬温泉の炭酸パワーです。甘さ控え目で、ラムネを思わせる懐かしい味です。
歴史ある温泉街だけに、たくさんの名物・名産があります。そこで、有馬温泉の駅前にある人気のお店「吉高屋」で聞いてみました。
有馬の名産や和のクラフトを中心に何千種類もの商品を取り扱っている「吉高屋」ですが、大別すると"雑貨"と"食品"になるそうです。お店が独自に開発した商品やメーカーと共同開発した商品もあって、有馬で100年以上愛されてきたお店ならではの魅力的な品揃えです。
まず"雑貨"部門からのオススメは、温泉土産の定番「湯の花」(1包税込189円)。お店とメーカーの共同開発で生まれた湯の花で、風呂釜を傷めることなく、有馬のお湯を忠実に再現した香り・色が家庭で楽しめます。また有馬の温泉水を配合した「美肌石鹸」(税込735円)や、化粧水としても使える天然湧出100%の「有馬美人」(500cc税込420円)も注目アイテム。そして外湯巡りにも役立つ「手拭いタオル」(税込630円)は、いちごやもみじなど絵柄もキュートで、女性から大人気のお土産です。
"食品"部門のイチ押しは、丹波の黒豆が入ったヘルシーな甘さが人気の「温泉ぱん」(6個入税込945円)、そして古くて新しい有馬名物の「有馬サイダー」(1本税込250円)も買えますよ。
|
|
|
宿泊していないので、有馬の1部しか体験できていないかもしれませんが、1日歩いただけで随分街がわかりました。外湯「金の湯」では、独特のお湯の色が「温泉に来た!!」というのを実感させてくれました。ちょっと入っただけでお肌がスベスベになったような気が?します(笑)。
カフェなどもあり、古いだけじゃない町並みが気に入りました。休みの日にゆっくり散策するにはピッタリかも?次は、「金の湯」のお風呂あがりに、「BARニュールンベルグ」でビールが飲みたいです~(笑)。 |
|
|
|
大阪・梅田からバスで1時間で行けることにビックリ。そんなバスが1時間に2本も出ているんですよね。
「金の湯」に入りましたが、顔を洗うと、すごくしょっぱくて、海のようでした。それだけに効能がありそうです。地元の方いわく、金の湯に入ったあとに足湯に行くと、湯冷めしないらしいので、ぜひ試してください。その後は、「BARニュールンベルグ」で有馬サイダーを飲みましょう! |