JR京都駅中央口から徒歩約15分、梅小路公園内に誕生した「京都水族館」。海のない京都盆地に現れた、京都で初めての内陸型大規模水族館です。展示は京都の川の上流からスタートし、最後は大海原へ。そんな水の流れに沿って約250種類、総数約15,000匹のいきものたちに会うことができます。
千年の都のど真ん中にあるこの水族館の魅力は、単にいきものたちを見るだけでなく、実際に触ってみたり、水槽越しにまじまじといきものの生態を観察することもできる体験型の水族館であること。まずは、その楽しさをご紹介しましょう。
エントランスからすぐの場所にある「京の川ゾーン」は、京都市内を流れる鴨川と、京都府北部を流れる由良川をモチーフにした2つの水槽で構成されています。一番の見どころは「オオサンショウウオ大型展示コーナー」。3000万年前からほぼ進化することなく生き続け、国の天然記念物でもあるオオサンショウウオについて詳しく知ることができます。その表面を触るとどんな感触か、どんなニオイがするかを模型などで体感でき、オオサンショウウオを身近に感じられる展示です。水槽越しには、実際に鴨川水系で捕獲されたオオサンショウウオを見ることもできます。
面白い色をしたヒトデや小さなナマコ、ネコの顔に似ていると言われるキュートなネコザメなど、海のいきものたちを実際に触って、そして専門家である飼育員からその生態などを勉強できるコーナーが「磯の教室」です。ほのかな磯の香りに包まれて、普段触れることのないようないきものたちを間近に見ることで、水の生物への理解がぐっと深まります。子どもたちにとっては、楽しい時間が過ごせること間違いなしです。
新しい水族館ならではの新しい取り組みのひとつが「バックヤードツアー」や「ワークショップ」といった体験プログラムです。「バックヤードツアー」は、飼育員がエサやりをしている場所へ行って実際にエサやり体験をするなど、水族館の裏側を見て、聞いて、体験できるツアーです。「ワークショップ」は、オリジナルのいきものチャームを作るなど、自分で手を動かしてモノづくりが体験できます。どちらの体験プログラムも、当日館内の交流プラザで受け付けが行われます。
新しい京都土産として、ミュージアムショップのグッズにも期待が高まります。注目は、京都水族館の目玉ともいえるオオサンショウウオのぬいぐるみ。ぬいぐるみらしくない妙にリアルな色と形が魅力で、大きさのバリエーションも豊富です。また、一見するとお箸のように見える2本組の鉛筆「おてもとえんぴつ」(300円税込)も、オリジナルの注目グッズ。オオサンショウウオ、ハリセンボン、ズワイガニの3つのイラストがあり、子どもたちに喜ばれそうです。
館内には、「山紫水明カフェ」や「かいじゅうカフェ」などがあり、オリジナルメニューが食べられます。京都の水にこだわった豆乳使用の「男前豆腐店 豆乳ソフトクリーム」(350円税込)や、いきものデザインがかわいい「すいぞくパン」(280円税込)などが話題。ただし館内にはレストランがないので、水族館のある梅小路公園でお弁当を広げたり、市内でおいしいランチを食べたりがオススメです。
海のない京都盆地。いったいどうやって海水を水族館に運んでいるのでしょうか。答えは「人工海水製造システム」です。京都水族館の水槽の水は、海水の成分を水に溶いたものを使用しているので、離れた海から海水を運ぶよりも輸送にかかるエネルギーをぐんと減らすことができるのです。こほのか、「太陽光発電システム」を活用したり、屋根に降った水を集めてトイレの洗浄水として使う「雨水利用システム」を導入するなど、さまざまな環境対策に取り組んでいます。いのちの大切さはもちろんのこと、地球環境の大切さを考えた水族館なのです。